今、Jリーグの各クラブがこぞってInstagramのアカウントを開設していることをご存知ですか? 世の中のSNSブームに乗って、JリーグでもTwitterを広報活動に使うのはもはや当たり前。練習中の選手の様子や試合の情報、グッズ売り場の紹介などをツイートし、戦略的なマーケティングを行っています。
「それならTwitterだけで十分なんじゃないの?」と思われる方も多いかもしれません。各クラブが今Instagramにも続々と進出しているのは一体なぜなのか、中でもひときわユニークな戦略で知られる横浜マリノスの活動について、詳しくご紹介していきます。
横浜マリノスがInstagramでの初投稿を行ったのは、2015年5月9日。それからおよそ3年でフォロワー約34万人、投稿した画像は2000枚を突破しました(2018年7月現在)。
投稿されているのは主に選手の写真で、試合中のショットや移動中のスーツ姿など、普段スタジアムではなかなか見ることのできない選手の表情が垣間見える投稿もチラホラ。
すでに横浜マリノスファンなら間違いなく見逃したくない!と思う写真ばかりです。
選手ひとりひとりの誕生日を祝う投稿も人気で、元日本代表の中澤佑二選手のバースデー画像には4400件もの「いいね!」がつけられています。
このように、横浜マリノスのInstagramアカウントにはファンとクラブが一緒になって盛り上がれる工夫が盛りだくさんなのですが、さらに2016年春から、横浜マリノスが乗り出した戦略的なマーケティング手法には業界外からも熱い視線が注がれました。
2016年4月10日、横浜マリノスがInstagramとのコラボレーションにより実現させた「#empty(エンプティー)プロジェクト」は、スポーツ界では前代未聞の試みでした。
当日、対浦和レッズ戦が行われる日産スタジアムが空っぽの状態の時間を狙って、有名なインスタグラマーたちを招き、各自自由に写真を撮影しInstagramにアップしてもらうというものです。
アカウントを持っている人なら誰でも自由に参加でき、写真には「#emptyNissanStadium」のハッシュタグをつけて投稿するのがルールになっています。
Instagramのハッシュタグは、同じタグがつけられた写真をアプリ内で一覧を確認できる仕組みになっているため、このタグで検索すればみんなの撮影した空っぽの日産スタジアムの写真が次々に表示されるというわけです。
このプロジェクトが戦略的で面白いところは、横浜マリノスのサポーターではない層に向けて、横浜マリノスの存在を効果的にアピールすることができるところ。
インスタグラマーの中には、個人でも何千何万という単位で、莫大なフォロワーを抱えるアカウントが数多く存在しています。そういった人気アカウントをフォローしているファンの目に、「#emptyNissanStadium」の写真を飛び込ませることができる!というだけでも、マーケティングから見た効果は高いでしょう。
単純に公式アカウントから情報を発信するだけでは決して届かなかった層に向けて、横浜マリノスをPRすることができるのです。
このようなユニークなイベントの開催も含めて、横浜マリノスが数あるSNSの中でも特にInstagramに注目している理由は何故でしょうか。
横浜マリノスの広報担当者の話によれば、『クラブではこれまで試合のたびに、大量の写真を撮影していたものの、その写真を有効活用できるシーンがなかった』とのことでした。
横浜マリノスのサポーターに向けて、そういった写真をどんどんと提供していくのに「写真共有アプリ」であるInstagramはまさにうってつけだったのです。
それに加えて、アプリ内のタグ検索などから訪れた横浜マリノスをまだあまり知らないユーザーに、横浜マリノスのことを知ってもらう機会としても期待するところは大きいようです。
特に、文字中心のTwitterとは異なり、画像中心のSNSであるInstagramは海外からの反響が目立つといいます。
Twitterではどうしても日本語での投稿となるため、他の言語圏のユーザーの目にはなかなか留まりません。その点、Instagramではまずイメージとして写真がパッと出てくるので、言葉の壁を超えたコミュニケーションが取りやすく、海外ユーザーの関心を引きます。
なおかつ横浜マリノスでは、そういった海外からの視線も意識して、写真と一緒に投稿するキャプチャには毎回ほんの一言でも英語を入れるよう心がけています。
画像を中心とした情報発信には、TwitterよりもInstagramのほうが適しているようです。
今回は横浜マリノスがInstagramを使って行っている戦略的なマーケティングについてご紹介してきましたが、冒頭でもお話した通り、Instagramの公式アカウントを開設したクラブが多くあります。
各クラブが今後どんな写真を投稿していくのか、それぞれの投稿が楽しみですね。
浦和レッズ(@urawaredsofficial)
FC東京(@fctokyo_goods)
川崎フロンターレ(@kawasaki_frontale)
ベガルタ仙台(@vegaltasendai)
湘南ベルマーレ(@shonan_bellmare)
サンフレッチェ広島(@sanfrecce.official)
個人アカウントにおいても英語のタグをつけるようになってから海外の方からの「いいね!」やコメントが増えたという事例は多くあります。
個人レベルでもそうなのですから、元から注目度の高いクラブの公式アカウントなら、個人アカウントに比べて、海外発信する効果は大きいのではないかと思います。
これからもますます盛り上がること必至なスポーツ界のInstagram活用術について、引き続き注目していきたいですね!