若干22歳。現役東大生。この年で全国各地にユニークなテーマを設けたホテルを経営する新進気鋭のホテルプロデューサーがいます。
彼女の名前は、龍崎翔子さん。ミレニアム世代と呼ばれる年代に生まれた龍崎さんは、独特な着眼点やコンセプトで、手がけたホテルは軒並み注目を集めています。当エントリーでは、龍崎さんのすべてに迫りたいと思います!
若干22歳の龍崎さんは、すでに全国5カ所でそれぞれコンセプトの違ったホテルを展開しています。2015年に19歳で起業し「株式会社L&Gグローバルビジネス」を設立。
北海道の富良野に「petit-hotel #MELON富良野」オープンします。築30年のアメリカンコテージ風のペンションをリノベーションし、温かみのある富良野らしいホテルなんです。
その後、2016年には京都にアートギャラリーを併設した「HOTEL SHE,KYOTO」を、翌年2017年には、大阪に客室にレコードプレーヤーを置き、タイルをつかったレトロな外観にリノベーションした「HOTEL SHE,OSAKA」をオープン。
また2018年には湯河原に「快適過ぎてダメになる」と称されるyogiboのクッションを全室に置いた「THE RYOKAN TOKYO YUGAWARA」。北海道では2件目となる廃業寸前の旅館をリノベーションした「ホテルクモイ層雲峡」のプロデュースを手掛けています。
龍崎さんが手掛けるどのホテルも、『ジャケ買いされる空間』『onsen2.0』『#shelovesyou』など独自のテーマやコンセプトを持たせている点が人気を呼んでいます。
例えは「HOTEL SHE,OSAKA」は、昭和の面影を色濃く残す大阪の港街を舞台に、街の空気感を最大限織り込めるように全客室にレコードプレーヤーを設置。「アナログな音楽体験のあるライフスタイル」をテーマに、ラウンジフロアにはコーヒースタンドを設置し、ゲストの集まる地域に開かれた空間となっています。
また「THE RYOKAN TOKYO YUGAWARA」では、「エンターテイメント旅館」として運営されていた「THE RYOKAN TOKYO」とタイアップし、企画/運営を行なっています。「onsen2.0」というコンセプトを掲げ、全客室に人をダメにするソファ「yogibo」を設置し、「湯河原チルアウト」をテーマに新しい温泉の癒しの形を提案しています。
明治時代以降、夏目漱石や与謝野晶子など多くの文豪に愛された地であることから、大学生向けの卒論や原稿などを温泉旅館で缶詰するプラン「原稿執筆パック」を打ち出し、大注目を集めました。
それぞれのホテルの平均稼働率は約90%。訪日外国人客の割合も高く、「HOTEL SHE,OSAKA」では40%、富良野では95%に達します!全く広告を出していないにもかかわらず、宿泊客のSNSや口コミで認知度が高まっている状況です。
龍崎さんがホテルを手がける際、毎回大切にするのは「イメージを、徹底的に言語化する」ということ。語感が良いことや記憶に残るイメージ作りを大切にしているとのことです。
また本人も自他ともに認める「Twitter中毒」とのことから、マーケティングは主にSNSに重きを置いています。「SNSはコミュニケーションツールだ」と言う龍崎さん。SNSはそれぞれの用途に合わせたマーケティングを大切にします。
例えばインスタグラムは、ホテルに泊まってくれたお客さまの投稿をリポスト(再投稿)することで好感度・ロイヤリティーを高める。Twitterは、ホテルでお世話になっている方とのコミュニケーションに使うなど。また「できるだけ公式アカウントっぽさを薄めること」も、より人の心に響くために心掛けていると言います。
デジタルネイティブ世代の龍崎さんは、「どんなコンセプトで、どんなワーディングだとバズるのか」というのが、感覚的にわかっているのかもしれませんね。SNSで発信されるときに響きやすい言葉などを意図的に選ぶなど、シンプルかつ明快に表現できる方法を日々模索しているそうです。
龍崎さんは、定期的にそれぞれのホテルのテーマを大事にしながらイベントを仕掛けることも大切にしています。例えば2018年の8月31日。「平成最後の夏」をテーマに、「平成ラストサマー」というDJイベントを開催しました。
誰もが知っているカラオケの定番曲から、聴くとあの頃の光景が蘇る思い出の名曲まで、皆様からのリクエストをもとに1989年から2018年まで、平成30年の歴史を振り返るプレイリストの編集。個性派揃いのDJが独自のアレンジを加えてオールナイトでフロアを揺らすというDJイベント。
またここでもTwitterを使って、 #平成ラストサマー のハッシュタグをつけて参加者に平成の思い出の1曲をリクエストしてもらい、リクエストをもとに各年代ごとにSpotifyでプレイリストを毎週公開するなど、デジタルネイティブ世代にも響くような仕組みを作っているんです。
龍崎さんがホテル経営を志したのは、なんと小学生の時。半年間だけアメリカに住んでおり、最後の1ヵ月で両親とアメリカ横断ドライブをした際に毎日の泊まるホテルを楽しみにしていたのですが、どの都市も部屋は変わらず同じようなサービス、内装、設備に漠然とした不満を感じたそうです。
小学5年生のときにホテル経営という仕事を知り、目指す職業が決まったといいます。毎年日本を訪れる外国人の数は増え、慢性的に宿泊数は足りない状況が続いています。日本独自のおもてなしを大事にしながら、更に次の世代でカルチャーを作っている。そんな今後の日本のホテルシーンに一石を投じるのは、間違いなく龍崎さんなのでしょう。要注目です。