これがわたしの足。失った足の骨にInstagramで第二の人生を


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– 2020-05-01 最新情報を元に加筆修正

もしも、病気やケガなどが原因で、身体の一部を失ってしまうことになったら。

家族や友人など周りの人達が悲しむのはもちろん、当の本人は悲しみとともに耐えがたい喪失感を抱くこととなります。しかしそんな辛い思いを克服し、切断した右足の骨を再び組み立てて自分の元へ取り戻し、なんとInstagramで画像を投稿し続けている女性がいます。

その内容は時にユニークでシュールだったり、そのときの彼女の気持ちを載せることも。彼女のこの行動は、勇気とポジティブさにあふれていると賞賛の声が鳴り止みません。一体どんな女性で、何が原因で足を失い、なぜInstagramを始めようと思ったのでしょうか?

何が彼女の右足を奪ったのか

自らの足の骨と写真に写っているのが、アメリカのオクラホマ州在住の女性、クリスティ・ローヤルさん。2011年にはじめて感じた小指のしびれは、2014年には右足の半分へと広がり、痛みを訴えるようになりました。病院ではビタミン不足の症状とされ、ビタミン剤を処方されただけでした。

2015年にも改善せず、右脚の内側にできたこぶは医師の診断によると、よくある「脂肪腫」とされました。しかし痛みは強くなるばかり。2016年に腫瘍の切除手術を受けました。それが「がん」である確率は非常に低く、10万分の1だと言われたものの、その僅かな確率がクリスティさんの身に起こったのです。

それは「類上皮肉腫」という非常に珍しい種類の「がん」で、臓器ではない筋肉や血管、リンパ管などに悪性腫瘍ができるというものでした。幸い転移はしていなかったものの、手術で完全に取れていないことがわかりました。抗がん剤や放射線治療での成果は期待できないため、医師から右足の切断を勧められたのです。

そのとき彼女は何を考えたのか

「最期の写真」とされた、切断前の画像。足を切断する以外に病気を完治させる方法がない。こんな辛い事実が自分に降りかかったら、大抵の人はショックで何も考えられない状態になるでしょう。ところがクリスティさんは医師に対して、意外すぎる質問をしました。それは・・・?

「その切断した足、返してもらえます?」

当初はジョークのつもりだったそうですが、この状況でジョークを言えるクリスティさんの精神力の凄さに驚きます。彼女は「考える時間が十分あったので、ある時点から手術や右足の切断について感情的になることを辞めた」と話します。そのせいでこの状況をジョークにする気持ちになれたというのです。

ジョークだった「足を返して欲しい」という発言は、そのうち本当に自分が足を返してもらいたいのだということに気付きます。医師に「かなり変わっている」と言われつつ、袋に入った足の骨を受け取りました。自分の足と暮らしていたある時、「これを使ってジョークを作ろう」と思いつきます。

友人が提案した、Instagramに投稿するアイデアを気に入り、持っていた骨にクリーニングとホワイトニングをほどこしてもらい、金属ワイヤーで元どおりの形に組みなおしてもらいました。そしてクリスティさんはInstagramにアカウント「One Foot Wander(一本足でさまよう)」を開設、面白いことを始める準備は万端!そして色々なロケーションの骨の画像を投稿し始めたのです・・・。

最初の投稿は「再結成!」

まず投稿したのは、骨を右脚の先、つまり元々あった場所に置いたもの。これで右足と左足が久しぶりに再結成、というわけですね。「再結成。とてもいい気分だわ」とクリスティさん。メタリックなスニーカーに、ヴィヴィッドカラーのアンクレットを両足につけて、右の脚にはなんとポケモンボールのタトゥーが!クリスティさん、元々センスあるユーモアの持ち主なのでしょう。

「驚くばかり、とてもクリエイティブ!」「君は強い。何も恐れることはないよ」といった応援のコメントが数多く寄せられています。

世界のてっぺんに立つ!

足の骨を地球儀の上に置いてみれば、まるで地球のてっぺんに立っているように見えるんじゃないか?じゃあやってみよう!こんなポジティブな発想で撮った様子が目に浮かぶユーモラスな画像です。面白いアイデアを思いついたら、それを実行するパワフルさに感心させられます。

これは・・・事件?事故?!

地面に骨を置いてみたら、なんだか倒れているみたい。なにか事件のにおいが・・・。クリスティさんのコメント「Roadkill」は車に轢かれる、つまり交通事故なんですね。ウィットに富んだジョークが冴えています。

「君の足は僕より冒険しているよ」というフォロワーコメントのとおり、クリスティさんは出掛けるとき、骨を箱に入れて持ち歩いているそうです。出先でなにか面白いものを見つけたり、ひらめいたらすぐに写真が撮れますね。

悪い子(骨)になっちゃうぞ

なんと、右足の骨のかかとにサンダーモチーフのタトゥーを彫っちゃったクリスティさん。ちょっと悪い子系の骨に仕上がっています。世界一クールな骨を目指してほしいですね。

ムダ毛のお手入れ

女の子ですもの。やっぱりムダ毛が気になるものですよね。とはいえ、骨にシェーバーを当てるとは!斬新過ぎる、発想の勝利です。骨でもちゃんと女子力キープは怠りません。「私は毛深いから、楽そうでいいな」なんてコメントもセンスがあります。

そういえば犬って骨好きだよね?

犬と骨。犬は骨をくわえているイメージ、ありますよね。そこで自分の骨を差し出してみた画像です。意外と動じないワンちゃん。でももしかじられてしまったら大変です!ある意味チャレンジ画像といえますね。

フットルースと足の骨の意味

「意味わかるかな?」クリスティさんからのクイズです。Footは足、Looseは開放する、そしてLoseは失うという意味の言葉。つまり「失った足を開放する」というメッセージがこめられているんです。誰でも知っている映画のジャケットと骨の画像はシュールですね。秀逸な謎掛けセンスです。

滝の上を舞う鳥のように

風光明媚な森と滝。その上を舞うのは鳥・・・じゃなくて骨だった!骨画像を投稿しているアカウントだと知らなければ、本物の鳥のように見えますね。クリスティさんのコメントに出てくる「Footzilla」とはFoot(足)とGodzilla(ゴジラ)をミックスしたオリジナルワードのようですね。この骨が空を飛ぶ「Footzilla」は、彼女のInstagramではたびたび登場、シリーズ化しつつある画像です。

今日はちょっと寒いね

ソックスをはいた足の骨。やっぱり冷えは女性の大敵ですからね。三角帽子を被った、ちょっととぼけた感じの恐竜君がかわいいソックスですね。フォロワーコメントの「Is that a Toe Rex?」というのは、T-Rex(恐竜)に掛けた英語版ダジャレです。フォロワーさんも面白い方が多いようですね。

実は悩む日だってあります。

珍しく、クリスティさんのコメントが長い投稿です。

「これは面白いとか幸せな投稿ではないので、先に謝っておきます。 私は「悪い日なんてない」と言っているけど、それはうそになるわ。 今日はよくない日。 私は自分の足が付いてた頃が恋しい。 誰の助けもいらなかった頃に戻るか、誰かに助けを求めるべきか。これが嫌。 大抵の日はハッピーで、自分のことも笑えるの。 だけど、最近は不機嫌。 何かにつけて自分が悪いんじゃないかと感じるの。多くの私よりもいい人たちががんで亡くなるときのことについて。 なぜ私は生きているの? 私は25歳。 がんに罹っている子供達がたくさんいる。 これってフェアなの? 彼ら生きるために私よりもがんばっている。 理解できないの。 きっとずっと理解できないままだろうな。」

このコメントに対して、「君は愛されているよ。君はがんばって生きている。君の人生は大切だよ。君が思っている以上にユーモアや希望を運んでいるんだよ」「誰が長く生きるかどうかなんて、君の責任じゃないんだよ」「素直になってくれてありがとう。明日はきっといい日だよ。」といった激励のコメントが多数投稿されています。いつもはクリスティさんのユーモアに感心しているフォロワーが、逆に彼女を励ます言葉を送っているのです。

たくましくもあり、溢れるユーモアこそ彼女そのもの

右足を失い、生きることを選んだクリスティさん。

自分の骨とともに世界を旅する夢を、是非とも叶えてほしいものですね。