「露出していること」で侮辱された、女性クライマーの戦いの記録

細いロープをたぐり寄せながらゴツゴツとした岩壁を果敢によじ登る赤い髪の女性。彼女の名前はIrene Yeeさん。ラスベガスに拠点を置いて活動するロッククライマー。彼女のインスタグラムには4万人を超えるファンがいて、彼女のロッククライミングを見守り、彼女に勇気をもらっています。

週末の赤い戦士

彼女は「週末の赤い戦士」とよばれています。その理由は、彼女が赤い髪であることと兼業ロッククライマーだからだ。彼女は世界的に有名なシルクドソレイユの裏方大工としてはたらき、週末にロッククライマーとして活動する。

ロッククライミングとは

ロッククライミングはもともと山登りのプロセスの中で難易度が高い岩場を克服するために考えられた技術です。その技術が派生して、純粋に岩場をよじ登るプロセスだけを抽出されたのがロッククライミングの始まりです。

ロッククライミングは過酷

ロッククライミングはとても過酷。岸壁につくられた道はありません。自分で自分がよじ登る道を決め、岩壁にハケーンとよばれる足場や手をかける道具を打ち込んでいきます。もちろんそこに安全は保証されていません。もしかしたらハケーンが岩壁から抜け落ちてしまうかもしれません。次にハケーンを打ち込むことができなければ、ルートの大きな変更を余儀なくされます。自分自身を支えているのは、肉体と精神だけです。

どうしてロッククライミング始めたの?

なぜIrene Yeeさんは、そんな過酷なロッククライミングに挑戦し続けているのでしょうか?

「私のまわりはあまりいい顔はしなかったけれど、私の好奇心はとても旺盛だったの。それで、私は自信を持って飛び降りる覚悟を決めたのよ」

彼女は、自分の心と正面から向き合い、ありのままの気持ちで行動しようと心に誓います。

 

ロッククライミングとの出会いはトレーニングジム

でもいくら好奇心が旺盛で、自分の気持ちのままに行動しようと決めても、「ロッククライミングをやってみよう」とはなりません。Irene Yeeさんがロッククライミングを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

「ラスベガスで通うジムで、クライミングの方法を教えてくれる人たちが集まる楽しいコミュニティに出会ったの」

彼女がはたらくシルクドソレイユのある街ラスベガス。彼女はそこでまずトレーニングジムに通います。裏方大工という体を使う仕事をして、そこからトレーニングを行います。それだけでもヘトヘトになってしまうと普通なら思ってしまいます。こういうところからでもIrene Yeeさんの好奇心が旺盛で、なんでも挑戦してみようという強い欲求を垣間見ることができます。

ロッククライミングを決断させた1枚

彼女が通うトレーニングジムを利用する人たちの中で、クライミングを楽しむコミュニティがあり、Irene Yeeさんの好奇心はくすぐられます。すぐに彼女はそのコミュニティの一員となり、クライミングの方法や楽しさを学びます。

トレーニングジムのコミュニティの中で、クライミングの楽しさを学ぶIrene Yeeさんですが、とうとう「岩に登る」決断をする日がやってきます。Irene Yeeさんにロッククライミングを決断させたのは一人の女性登山家を撮影した1枚の写真。

「ロッククライミングをする彼女の写真はとても楽しいの。感情と情熱は美しい写真からから湧き上がってくると思ったわ。」

「自分を限界の中に押しやる女性はいない、自分を絶対に達成不可能に押しやる女性いない」女性登山家をとらえた1枚の写真からそんな感情と情熱を受け取ります。

達成不可能だと諦める女性はいないことを証明したい。自分にも世界の女性たちを励まし、勇気づけたい。好奇心旺盛なIrene Yeeさんは、ふつふつと湧き上がる感情をもう止めることはできません。

ロッククライマーのIrene Yeeの誕生です。

「ジムよりもロッククライミングの方が費用も安いし」と、好奇心だけでなく、コスト意識も高いしっかりもののIrene Yeeさん。そのコストが安いロッククライミングは、彼女にどれほどの影響を与えているのでしょうか?

ロッククライミングが教えてくれること

彼女はロッククライミングが2つのことを教えてくれると言います。

ひとつは、自分の心は反抗的で勇敢ということ

ロッククライミングの途中で「私にはできない、もうこれ以上登るのは無理、限界よ」という反抗的な気持ちが心に湧いてきます。

一方で「限界なんて誰が決めたの?どこが限界かなんてわからないわよ」という勇敢な気持ちも湧いてきます。相反する気持ちが自分の心にはあるということをロッククライミングは教えてくれる。

もうひとつロッククライミングが教えてくれること。それは、ロッククライミングという限界と危険が隣り合わせのスポーツの中で、直面する困難を克服できるのは自分の体と心しかないということだとIrene Yeeさんは言います。

 

ロッククライミングは人生

これは、ロッククライミングだけではなく、人生においても同じことが言えます。自分には不可能だと思えることに直面するのは、生涯続いていきます。

その困難な状況では、「私には無理。もうこれ以上はできない」という弱さとそれを「限界なんて自分が決めること。諦めない」という強さが自分にあることに気づきます。

その困難な状況を乗り越えていくためには、最後は自分の強いカラダと精神力だということです。

人生の縮図のようなロッククライミングにおいて、Irene Yeeさんは、強いカラダと精神力を身に付け、喜びを感じています。

彼女のインスタが人気な理由

Irene Yeeさんは、そんな喜びをインスタグラムの写真を通して世界中に発信し続けています。

インスタグラムで発信するIrene Yeeさんの写真が当てるスポットライトは、Irene Yeeさん自身でも、ロッククライミングではありません。

ロッククライミングをする女性なのです。それが他のクライミングインスタグラマーと決定的に違うところであり、彼女のインスタグラムに4万人を超えるファンが存在する最大の理由です。

自身と信頼

Irene Yeeさんがインスタグラムを通して伝えたいことは、自信と信頼です。クライミングは自分と岩とが形成する社会。クライミングでは、岩を上り、ストップしてハケーンを岩に打ち込みます。体力を維持するために休息もとらなければいけません。登るだけではだめで、降りなくてはなりません。

それらをやり切らなければ、戻ってくることはできません。失敗は許されないのです。ロッククライミングは本当に苦しいものです。

でも、それをやり切ったときに自分自身に自信と信頼を得ることができるんです。ロッククライミングをやり続けていれば、どこかのタイミングでそれを知ることができるのです。

登り切れないときもあります。途中で戻らなければならないこともあります。もちろん失敗することもありますが、再び岩によじ登り、自分が頑張れた場所が増えることは喜びです。

自分が頑張ることができた場所をインスタグラムで報告する瞬間は、なんともいえない爽快な気持ちが自分を待っています。爽快な気持ちが繰り返されていく中で、心と体に自信と信頼が満ちていきます

ロッククライミングでは、ロープに座って、次にどのように動けばいいのか考えたり、どれくらい休憩を取ればいいのかを判断したりします。そのような中で、自分がどんな人間であるかをロッククライミングから教わります。

 

女性の人生観を伝えるのが私の仕事

雑誌やメディアでは、ロッククライミングというスポーツにスポットが当たるので、そういった女性の人生観のようなものにはなかなかスポットは当たりません。だから「女性の人生観にスポットを当てて発信するのが私の仕事」だとIrene Yeeさんは言います

Irene Yeeさんのお気に入りのショットは、壁と壁の間で恐怖を克服したクライマーの瞬間をとらえたものです。Irene Yeeさん女性が自分自身への自信と信頼と勝ち取る瞬間の姿が、多くの女性に勇気を与えます。

ありのままを受け入れる

多くのプロのカメラマンは、フォトジェニックな場所を探し、映り映えがよくなる太陽の光りに変わるのを待ちます。Irene Yeeさんの撮影は違います。「私はただこの場所に来て、自分が“持っている”ものをありのままに撮影するの。あまり映り映えが良くなくても、それが今日の私が“持っている”もの。それを使って、クールなバッドショットを作る方法を考えています。」

マイナスをプラスに変える生き方

「クライミングをしている間、クライマーは足元を見ているんです。クライマーの下からのお尻のショットは、クライマーの顔を撮る絶好の機会なんですよ」。こういう考え方は、イマジネーションのほんの一部分。「求めている理想の状況にならなくても、そこで何ができるかということを、写真を通して多くの女性に伝えたいと思っています」

Irene Yeeさんが発信するメッセージ「ありのままの状況を受け入れて、写真を撮影する」というは、これまでの登山撮影をするカメラマンは満足できません。彼女のメッセージは写真撮影ではなく、女性の生き方だからです。

小さな火花が大きな興奮になる

Irene Yeeさん(@ladylockoff)がシェアした投稿

「ほとんどのクライマーはプロのクライマーではありません。私と同じように働くなかで、自分が好きなことをするために山で時間を過ごしています。あなたの中にある情熱という小さな火花を大切にして大好きなことに取り組めば、たくさんの興奮を味わうことができるはず。そして多くの人たちはその一部を味わいたいと思うものなんです。」