Instagramマーケティング入門【後編】〜ここまでできる!海外コンテスト成功事例〜


引用:Ford Festa Facebookページ https://www.facebook.com/fordfiesta

先日解説したコンテストの開催方法に続き、Instagramマーケティングは最大規模のコンテスト成功例をご紹介します。まだ企業のマーケティングにInstagramが使われはじめて間もない頃に海外で話題をさらったこのコンテストは、Webマーケティング担当者には大いに参考になる事例の一つです。
今回は、海外の担当者の企画の仕方やコンテンツマーケティングの舞台裏まで分かるように詳しく解説していきます。

前編はこちら!

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Instagramマーケティング入門【前編】〜成功するコンテストとは〜

September 26, 2015

 

フォードの#Fiestagramコンテスト

米国の自動車メーカー フォードのヨーロッパ支部は、人気車種フィエスタの魅力を伝えるべくFiestagramコンテストを開催しました。フィエスタは洗練されたデザインやスタイリッシュな外観で有名な車種。一方、本当の魅力がその革新的な機能性にあることは知られていませんでした。フォードのマーケティングチームは、この隠れた魅力を伝えるためにInstagramを活用したのです。コンテスト成功の舞台裏を、前編で紹介した企画のステップに沿ってご紹介しましょう。

Ford Fiesta. Effortless technology. Fiestagram competition from Blue Hive on Vimeo.

出典: #Fiestagramコンテスト

ゴール設定

コンテスト開催の目的は、ずばりブランドイメージの改善です。フォードは、フィエスタの機能性を詳細に宣伝するために、6種類の機能ごとにコンテストを独立させています。コンテストごとに指定の機能にまつわる写真とハッシュタグを応募への条件としました。一方で、デザインにばかり注目が行く世間のイメージを変えるため、より多くの層の興味を引く施策を実行しました。
例えば、機能にまつわるハッシュタグの解釈はユーザー次第ということをルールに明記しています。これにより、車に興味がなくても写真に興味さえあれば誰でも手軽に参加できるようになっています。

#entryというキーレスを宣伝するコンテストでは、トンネルの入り口の写真を投稿したユーザーが当選者となりました。一般的に、マーケティングの手法としてはターゲットとなるペルソナを詳細に設定するものですが、ここではあえてペルソナを限定しないことでリーチするマーケットの幅を拡げておく、という意図が感じられます。設定したゴールと共にターゲットとする層は誰なのかまで決めておくと、コンテストの企画をスムーズに進められます。

コンテストタイプ

フォードは6週間のキャンペーン期間中、毎週テーマを変えた投稿エントリー型のコンテストを開催しました。週ごとに応募に必要なハッシュタグを指定し、それらをフィエスタの機能性にまつわるキーワードに設定しています。例えば、フィエスタの特徴であるキーレスを意味する#entryなど、毎週違ったお題が提示されます。応募者は、そのハッシュタグに関連した写真を投稿する必要があるため、1回のキャンペーンで具体的な機能性の宣伝が自然にできるというものです。
また、特典にはiPadやデジカメ等、誰もが欲しがる流行りのものにすることで、ターゲットを絞らず多くの応募を呼び込むことに成功しています。本来なら、自社商品や見込み顧客が興味を引きそうなクーポンなどが推奨されますが、コンテストの目標を達成するために、時にこのような判断を下せるようになりたいところです。フォードの場合、当選者の中でも特に優秀な1名には、なんとフィエスタがプレゼントされ、自社商品との関連性を持たせています。
コンテストが失敗する原因のほとんどはゴールとコンテストタイプの一貫性のなさです。自社の目的にあった企画を立てることこそ、成功への近道なのです。

 

ハッシュタグ戦略

フォードはInstagramと自社商品を掛けた造語fiestagramを考案しました。シンプルかつゴロも良く非常にキャッチーなものになっています。海外マーケターの間では合い言葉になりつつあるKISSの原則を意識してとにかくシンプルにすることがトレンドです。

フィエスタのキーレスエンジン機能にまつわる#entryのテーマで当選した写真。キャンペーンのイメージに合う写真であれば必ずしも車の写真の投稿が賞を取る必要はない。

コンテストフォト

次はユーザーに投稿してもらうために告知用のコンテストフォトの準備をしてみましょう!ここまで紹介してきたコンテストの企画が素晴らしいことは明らかですが、その魅力を最初に伝えることになるコンテストフォトの出来は応募者を増やすうえで重要なポイントです。

コツは、WHY(なぜ応募したいのか)、HOW(どのように応募するのか)を目立たせることです。

WHYには魅力ある特典や審査員など話題性のある情報を選ぶと応募を促進できるでしょう。さらに、応募に必要なステップの数やハッシュタグをはっきり明記し、HOWまで強調できるとベストです。文字のサイズや、色のコントラスト、写真を組み合わせてシンプルにすることを意識しましょう。

fiestagram-contestphoto
多くの情報を詰め込みつつ、3つの大きなステップにすぐ目がいくデザイン。

 

プロモーション

コンテストを開催する際、自社のキャンペーン運用メンバーだけで審査し当選者を決めてしまうことも可能ですが、審査員にインフルエンサーを起用すると、宣伝効果が大きく期待できるのでおすすめです。

フォードの場合、著名な写真家や、日本にも進出しているコミュニティInstagramersの創設者を応募写真の審査員としました。結果として、フィエスタについてはあまり知らないものの、本格的に写真を撮るのが好きな人や、Instagramヘビーユーザーなど、多くの層から関心を得られました。

また、特典をインパクトの大きいものにするとメディアでの掲載も期待できます。今回のように、話題になりそうなものを賞品や特典に選んだ場合はプレスリリースの配信などもプロモーションの一環として有効でしょう。

philgonzalez

@philgonzalez

審査員に起用されたのは、インスタグラマーから多くの支持を集めるコミュニティ@igersの創設者フィル・ゴンザレス氏。

また、コンテストページを作成するとさらにコンテストの宣伝に役立ちます。フォードはキャンペーン用に新たにFacebookページを作り、コンテスト期間中にリアルタイムで投稿された写真を展示するなど、ギャラリーとして活用したり、応募要項の動画をFacebook上に置くなど工夫が見られました。少しでもコンテストを盛り上げようという担当者の意気込みが伝わってきます。

効果測定

さて、このコンテストでフォードが測りたい指標は、どれだけ多くの人にリーチすることができたかです。最終的に、ハッシュタグFiestagramで投稿された写真は16万ポスト以上になりました。また、投稿エントリー型であるため、応募者のフォロワーまで確実にリーチすることができています。20以上のメディアやブログにも掲載され、非常に多くの層にメッセージを伝えることができたことが分かります。今回設定したゴールにおいては重要な指標ではなかったものの、Facebookで12万以上の新たなファンを獲得するというおまけ付きで大成功と言えるでしょう。

プロ顔負けの写真を投稿し、見事フィエスタを手に入れた最優秀の当選者。

Instagramのコンテストでもスケールの大きいことができることに驚かれた方も多いのではないでしょうか。しかし、前編で解説したようなステップを経て、フォードはコンテストを企画・開催したことも事実です。今回の事例ほど予算をかけずとも、ターゲットの興味を引く特典を設定したり、Instagram上で影響力のある審査員とコラボすることは十分可能です。今回の事例を参考にして競合他社よりも一歩先に、Instagramで話題になるようなコンテストを開催してみてはいかがでしょうか。