まさにカオス!香港にそびえ立つチョンキン・マンションは、怪しさ満点のフォトスポット



香港で、バックパッカーや旅行者を中心に人気を集めるチョンキン・マンションをご存じですか? なかなかにディープで、カオスな雰囲気を味わえるスポット。

17階建ての雑居ビルで、建物内には比較的安価なホテルが集まっているため、世界中のバックパッカーにはよく知られており、有名な旅小説に登場したりもするような知る人ぞ知る建物なのです。

一方で、多国籍・多人種が集うことで犯罪も起きているようで、「危険な場所」としてテレビで特集されたりする面もあります。怪しさや怖さ、スリルや面白さなど、いろんな感情が行き交う香港特有のカオスなチョンキン・マンションをご紹介します!

チョンキン・マンションとは、九龍尖沙咀地区にあるネイザンロード(弥敦道)沿いにそびえ立つ住居を主とした雑居ビルのこと。建物内には飲食店や両替商、携帯端末店、売店、コインランドリー、床屋、ゲストハウス、などなんでも揃っています。特にゲストハウスは香港屈指の安宿が集まり、世界中のバックパッカーが訪れるほど有名。

ホテルの宿泊費でも物価が非常に高い香港において、安価で宿泊できる激安ゲストハウスがあるのはバックパッカーにとって強い味方。 建物の構造は、パッと見ると巨大な一つのビルですが、A棟〜E棟まで5棟に分かれていて、全16階と17階建て。1階を除いて各棟の横の移動はできない構造となっています

カオスこそ、香港の歴史!

チョンキン・マンションの歴史は、1960年代初め。その前に話はさかのぼり、香港には同じような混沌とした建物群で「九龍城砦(きゅうりゅうじょうさい)」という無法地帯化した街がありました。第二次世界大戦の敗戦後、内戦から逃れた難民で人口過密が進み、無計画な増築により九龍城砦はさらに迷宮化。

犯罪者が逃げ込んでも警察が追ってこれないため、売春や薬物売買、賭博、その他違法行為が行われ、香港マフィアの巣穴となり暗黒化が進んでいました。
当時九龍城砦の人口は5万人、人口密度にしてなんと190万人/㎢。これは畳1枚に3人が入る密度です。

その後1993年〜1994年にかけて九龍城砦の取り壊し工事を政府が行った結果、その住民たちが追われるように移り住んだ場所こそが、チョンキン・マンションだと言われております。チョンキン・マンションは、香港特有のカオスさを受け継ぎ、世界中の旅人を魅了しているスポットでもあるのです。

建物の構造は?

入口には「重慶大厦 CHUNGKING MANSIONS」と大きく掲げられた看板と、多くの多国籍な男たちがたむろしています。

入り口を抜けるとすぐ目に入ってくるのが、カレーの匂いが漂うインド人街。多数の飲食店がありますがインド料理しか見かけません。チョンキン・マンションのインド料理屋の特徴として、割とボッタクリが多いので注意しましょう。

チョンキン・マンションは宿泊者以外はインドや中東、アフリカ系の人がコミュニティーを作っており、現地の香港人はほとんどみかけません。それによって香港の雰囲気とは違う異世界感を醸し出しているのでしょう。

また、チョンキン・マンションで気を付けなければいけないのが両替商。香港で一番両替レートが良い店も、一番悪い店もチョンキン・マンションの中にあります。特に入り口付近の両替商は要注意! よく探して両替することを勧めます。

噂のゲストハウスに泊まってみよう

チョンキン・マンションの名物と言えば、激安ゲストハウス。同じような料金でも当たりハズレが大きいので、しっかりと下調べをしてから予約を取る必要がありそうです。予約をしていなくても、夜になると空いているゲストハウスなどは更に値引きしてくれるところが多いのも魅力。

マイナスポイントとしては、外の換気扇や室外機の音が結構うるさい点…。これだけ多くの店が入っていれば仕方のないことですが、神経質な人は少し厳しいかもしれません。

そんなカオスな雰囲気の漂うチョンキン・マンション。立地条件も雑多としたエリアにあるかというとそんなことはありません。徒歩1分圏内にはMTR尖沙咀(地下鉄駅)、ザ・ペニンシュラ香港やSOGO、香港芸術館の敷地や船着場から対岸の香港島の摩天楼を望むこともできます。

例えるならば東京であれば銀座のような場所にあるチョンキン・マンション。なんでこんなところにあるんだろう?と疑問に思うほど謎の好立地です。

さいごに

香港は東京からでも片道5時間程度と、週末にでも行ける範囲内です。

香港自体、面積が狭く交通網が整っているので2日もあれば観光して見て回れちゃうのも魅力。そんな香港旅行の拠点として立地的にも値段的にもおすすめなのがチョンキン・マンション。

潔癖の人にはあまりおすすめできませんが、旅行中くらい異国の中の異国の雰囲気を味わうのも良いのではないでしょうか。