近年、集客ツールとしても注目を集めているInstagram。トレンダーズ株式会社が2015年に20~40代の女性を中心に実施した「女性のInstagram活用」に関する調査では、回答者の4割が「Instagramの投稿から刺激を受け購買に至った経験がある」と答えました。
調査結果を見てもわかるとおり、女性をメインターゲットとしたビジネスにおいて、Instagramを接客・集客ツールとして活用しない手はありません。
今回は、ECサイトがInstagramをビジネスツールとして活用すべき理由と、人気通販サイトがInstagramを接客・集客・プロモーションツールとしてどのように活用しているのか、その実例をご紹介します。
Instagramは2016年に国内の年間アクティブユーザーが1600万人を突破し、20~30代の若い層を中心に、ますます利用者が増えていっています。
この波に乗り遅れないよう、ECサイトは積極的にInstagramを活用していくべきですが、その前段階として「なぜECサイトがInstagramを活用するべきなのか」。その理由をご紹介致します。
当然ながら、ECサイトを立ち上げただけでは、お客様は呼び込めません。また売られている商品がどんなものなのかイマイチ分からないため、お客様は購入を控えてしまいます。
まずは、ショップやブランドの名前を認知してもらうことが先決です。そこで利用すべきなのが、Instagramです。
Instagramで流れてきた自社商品のおしゃれな写真を見たお客様が、「いいね」をしたりお友達にシェアしたりして、そのブランドを受け入れていきます。それが商品販売やブランド名を知ってもらえるきっかけに繋がっていきます。
InstagramにはTwitterのリツイート機能にあたるものがありません。これは、Instagramが情報の拡散性よりも、よりクローズドで密度の濃いユーザー体験を重視したメディアだからです。
これだけを聞くと、Instagramがあまり集客に向いてないように思われがちですが、そんなことはありません。
ユーザーは、無作為・無差別に飛んでくる投稿でタイムラインが埋め尽くされるよりも、自分の感性でフォローしたアカウントの投稿によって、タイムラインが整然と埋められていくことを好みます。
つまり、Instagramを集客ツールとして利用するということは、より自社商品や自社ブランドに強い関心を示す見込み客にリーチできるということです。
最近ではファッション誌などよりも、Instagramにアップされているオシャレな写真をコーディネートの参考にするという女性ユーザーも多く見受けられます。Instagramは今や、トレンドの発信地になっているのです。
あなたの見込み客が、あなたが投稿する、自社ショップや自社ブランドの魅力的な商品の写真を見て「これいいな」と思ったら、シェアしてくれるようになり、フォロワーも増えていきます。
「これさえフォローすれば、トレンドを押さえられる」という集客ができるのもInstagramの強みです。
中小のECサイトがテレビCMを流したり、雑誌に掲載されたり、街中に広告を出したりというのは、現実的に不可能に近いでしょう。
その点、Instagramは基本的に無料で利用できるため、コストを抑えて効果的な接客・集客・プロモーションが行なえます。
最近では自動でフォローや「いいね」ができるツールもありますので、24時間Instagramに張り付いて写真を投稿したり、見込み客にアクションをし続ける手間もかかりません。
Instagram自動化ツールは#Likesがおすすめです。
ここからは、大手総合通販サイトがInstagramをどのように活用しているのか、アパレル、生活雑貨、ペット関連など、様々なシーンから集めてしました。
では、それぞれ事例を見ていきましょう。
Instagramの写真をユーザーが気に入っても、サイトURLや場所がわからなければ、商品の購入までたどり着くことができません。アカウントのプロフィールには、自社の紹介だけでなく、お店の住所やアクセス、連絡先、予約の必要性等など忘れずに明記するようにしましょう。とくにURLは、プロフィール欄にしかリンクが貼れないので注意です。
カフェとアパレルが並列する「PORT of CALL」は、お店のメニューの写真と販売している自社ブランドの商品の写真をバランス良く掲載しています。実店舗がある場合は、お店の写真も掲載して雰囲気を伝えるのも有効です。
写真に店舗の営業情報などを載せるのもいいですね。写真を見たユーザーが、ふらっと立ち寄りたくなります。
レディースファッションブランド「SLY」のInstagramアカウントです。ブランドの商品でコーディネートしたモデルさんを、商店街などの身近な風景で撮影した写真をメインに投稿しています。
ストリートスナップのような感覚で、実際に商品を利用したイメージが描きやすくなりますね。
こちらの写真では、自社の様々なアイテムと組み合わせて、ユーザーにトータルコーディネートを提案しています。一緒に合わせたいアイテムをまとめて撮影することで、ブランドのコンセプトをユーザーに効果的に伝えることができます。
キャプションに商品価格を記載することで、予算のイメージもわきますね。
ZOZOTOWNのInstagramアカウントには「衝動買いさせるしかけ」が組み込まれています。
衝動買いに大事なのは、イメージです。ZOZOTOWNのホーム画面を見るとわかるように、ウェアやシューズ、iPhoneケースといった小物に至るまで、あらゆる身の回りの衣類、生活雑貨が網羅されています。
しかも、どれもかわいい、かっこいい、おしゃれと思わせる写真をピックアップしていますね。ユーザーはこういったイメージにより無意識に「快感」が呼び起こされ、理屈抜きに写真をタップしてしまうことでしょう。
さらに詳細ページには、ユーザーの購買意欲が薄まらないうちに購入ができるよう工夫が凝らされています。
キャプションに注目してください。商品ページへ誘導するURLが記載されています。ユーザーがすぐにURLをコピーペーストして商品を購入できるよう、上手く導線が作られていますね(直接リンクで誘導することは、仕組み上できません)。
幅広い年齢層の女性をターゲットとして、ファッション、インテリア、コスメなどを販売している、総合通販のフェリシモは、テーマを猫に特化したフェリシモ猫部のInstagramを運用しています。
扱う商品が多岐にわたる場合、フェリシモ猫部のようにジャンルを絞ったアカウントを作るのは、一つの有効な手段です。
写真の投稿にも工夫がこらされていて、かわいい猫の写真と商品紹介を組み合わせることで、あまり広告要素を感じさせない投稿がされています。
ユーザーは可愛い猫の写真を通して、フェリシモ猫部のアカウントにたどり着き、商品に興味を持ちます。このように「猫好きの人」「猫好きの人向けた商品紹介」というコミュニティを作ることで、新規顧客、既存顧客のいずれにもリーチできますね。
Instagramに投稿できるのは写真だけではありません。最大15秒の動画も投稿できます。
写真だけでは伝わらない自社商品やブランドの魅力を見込み客に届けるために、動画を使ってみましょう。大手家具メーカーのIKEAは、自社商品を利用したライフハックを動画を使うことで効果的にユーザーに訴求しています。
大手企業のコマーシャルのように、スタイリッシュで完成度の高い動画を投稿する必要はありません。
たとえば、新商品の調理器具を紹介したい場合、実際にその商品を使っているところの動画を撮影すればいいのです。商品の使用感や使うことで得られるベネフィットは、写真よりも動画のほうが伝わります。
動画撮影じたいは簡単にできますので、どのように活用するかはアイデア次第です。
IKEAは他にも、デザイナーの写真メッセージ付きで投稿し、デザイナーとユーザーを繋ぐことで、ブランドのコンセプトを伝えることに成功しています。
デザイナーの顔が見えることで、商品の温かみが伝わりますし、愛着も湧くようになりますね。
キッチン雑貨、日用品を紹介するネットショップ「北欧、暮らしの道具店」のアカウントです。
販売商品の写真以外にも、社内の風景、スタッフの紹介、日常の出来事といった、ユーザーが親近感の湧く内容の写真を投稿しています。
これにより、単に購入者を増やすだけでなく、「北欧、暮らしの道具店」ファンの獲得に成功しています。一度ブランドのファンになったユーザーは、繰り返しそのショップで商品を購入するようになります。
Instagramには、リアルタイムで動画が配信できるLIVE動画機能もありますので、ぜひ活用してみてください。
「一人暮らしのインテリア」をコンセプトとする、インテリアショップのガーリーアパートメントのInstagramアカウントです。
Instagramのビジネス活用の基本として、自社商品の商品を使った実例を紹介することで、見込みユーザーに商品が持つベネフィットを伝えることができます。
自社商品が実際に使われている場面の写真を投稿して、ベネフィットが目で伝わるように工夫するれば、見込みユーザーが自社商品へリーチしやすくなりますね。
投稿コメントにも注目しましょう。商品のスペック(サイズや機能)を説明するのではなく、ユーザーが商品を購入することで自分の部屋がどのように変わるか、想像させる楽しみを提供しています。
さらに、 #スタンドミラー、#鏡といった、商品そのものを表すハッシュタグだけでなく、#大人可愛い、#模様替えといった、ユーザーのニーズに応じたハッシュタグを付けて、見込みユーザーを取りこぼさないようにする工夫も大切です。
Instagramのハッシュタグには、自社のブランドや商品に興味を持ったユーザーが、フォロワーと共有するためのコミュニティとして活用することができます。
楽天市場は、「#楽天お買い物部」というオリジナルハッシュタグを利用して、競合との差別化と自社のブランディングに成功しています。
さらに、ユーザーにオリジナルのハッシュタグを付けて写真を投稿してもらうことで、ユーザー目線で商品の魅力を発信してもらい、コミュニティの「賑わい感」を演出することができます。
OrganicPAPAの服を着て幸せそうにしている親子の写真を見ると、商品のベネフィットがダイレクトに伝わってきますね。
ユーザーは気になる写真を見つけたら、その写真をアップしているアカウントを見に行きます。
子供服から婦人服・紳士服まで幅広く展開する、ファストファッションブランドのZARAは、Instagramのアカウントがまるで1冊のアルバムのようになっています。配色もフルカラーやモノクロなど、Instagramの写真編集機能を上手く利用していますね。
ついついスクロールして、過去の写真も観に行きたくなるような工夫がなされているため、見込み客は写真に「いいね」するだけではなく、アカウントをまるごとフォローして楽しみたくなるでしょう。
複数の写真でストーリー性をもたせるような工夫も、面白いですね。
商品のカタログというよりは、思い出が詰まったアルバムのような雰囲気を醸し出しているため、売り込み臭がまったくしないのも特徴です。
オンライン限定のスニーカーブランド「GREATS」のInstagramアカウントです。
このカウントがユニークな点は、自社の商品ではない風景、アイテムを多く投稿しているところです。
自社のターゲットの男性が好むライフスタイルをイメージさせる写真を掲載し、商品の宣伝よりも見込み客の獲得を優先しています。
売り込みよりも多くの見込み客を獲得、その中で自社のスニーカーに興味を持ったファン向けには、さらに濃い情報発信をおこない、販売に繋げる戦略をとっています。
「クリスマス商戦」という言葉があるように、クリスマスやハロウィンなどの季節ごとのイベントでは、ユーザーの購買行動が促進されます。
ハンドメイドの革製カバンのブランド土屋鞄製造所は、季節のイベントに合わせたユニークな投稿をすることで、ブランドの認知度を高めています。
写真を見たユーザーは「バレンタインチョコの代わりにチョコレート色の革小物もいいかも」と、土屋鞄製造所の商品に興味を持ちます。バレンタインチョコとの「ついで買い」を狙うこともできそうですね。
ハッシュタグに「#バレンタイン」をつけることで、検索からくるユーザーも取りこぼさないように工夫されています。
Instagramを接客に活用している事例として、セレクトショップ「BEAMS」のアカウントを見てみましょう。
人気ショップであるため、ユーザーから多くの問い合わせ、コメントが届いていますが、beams_officialというアカウントが、ユーザーのコメントに返信しています。
このように、きめ細やかで丁寧な対応がユーザーに信頼感を与え、ショップとユーザーとの距離を近づけています。
人気通販サイトのInstagramが実践している、接客・集客・プロモーションの活用例14選をご紹介しました。
いずれのサイトの活用例を見ても、ビジネスライクに徹するのではなく、一般のユーザーに混じって、親近感が持てる運用を心がけています。こうすることで、ユーザーとの距離をグッと近づけ、見込み客や熱心なファンを作りだすことに成功しています。
反面、Instagramによる活動だけで即集客・購入に繋げるのは、なかなか難しいものがあるように思います。あくまでもInstagramは、ブランドやお店のコンセプトを伝え、ユーザーに共感してもらうツールとして活用するのが最善の方法と言えるでしょう。
すぐに売上アップなどの効果は見込めなくても、長期的に続けていけば、必ず成果が出てくるはずです。今回とりあげた企業の多くは有名企業でしたが、中小のECサイトでも、Instagramが成功のカギになり得ます。
この記事の事例を参考に、まずは気軽に始めてみてはいかがでしょうか?