アジアのニュースターで話題の「88rising」

今、世界中でアジアの音楽が盛り上がりを見せています。韓国出身のK-POPアーティスト、BTSの躍進なども注目を集めましたよね。その中でも、アメリカのヒップホップシーンに次々とスターを送り出し、世界中の音楽ファンから注目を集めているアジア発のメディアプラットフォームがあります。

それが「88rising」。「ミレニアル世代のグローバルなアジアカルチャーを盛り上げる」ことを目指すメディアとして立ち上げられた88risingは、主軸となるYouTubeチャンネルは登録者100万人以上。

代表のショーン・ミヤシロはレーベルやマネジメント事務所のCXSHXNLYも率い、そこに所属するアーティストを紹介することで次々とブレイクさせています。この記事では今後世界を斡旋すること間違いなしの88risingを紹介したいと思います。

アジア思考にこだわる

ヒップホップを中心に、音楽・ファッション・サブカルチャー・食など、アジアのユースカルチャーをグローバルに発信し続ける話題のメディア・プラットフォーム、88rising。

音楽においては、洗練されたプロダクションとパフォーマンスで人々を魅了し、高度に産業化されたK-POPがアジアンカルチャーのメインストリームとして世界を席巻していますが、88risingはより身軽なアプローチで、アジアンカルチャーを提示することに成功しています。

首謀者のショーン・ミヤシロ氏の試みは、ニューヨーク市ブロンクス地区の駐車場の屋上で始まりました。2年ほど前にミヤシロ氏は、インターネットで見つけたインドネシアや韓国のラップ音楽を楽しむ生活を送っていました。

それが88risingの始まりの場所。そこからアメリカのメディアVice内で、エレクトロニックミュージックに特化したウェブマガジン・Thumpを立ち上げるなど、カルチャー方面でも活躍していきます。しかし、かねてからアジアのヒップホップに入れ込んでいたミヤシロ氏は、2015年に88risingを発足することになります。

その理由としては、「アジアのカルチャーを世の中に伝えるメディアが存在していない」ということを危惧したから。世界中に40億人いるアジア人、その半分をミレニアル世代が占めており、彼らとアジアの外にもいる人々にも伝えていく必要があるとして88risingは立ち上がりました。

ちなみに88risingの名前の由来は、アジア(主に中国)で幸運な数字として迷信的に信じられている“8(88も)”から。また“88”の発音は中国語で「幸運」や「繁榮」と同音異義語も持っています。

所属アーティスト

今、アメリカのシーンを最も賑わせているラッパーが、インドネシアはジャカルタ出身のRich Chigga(リッチ・チガ)。1999年生まれで若干18歳。

2016年にYouTubeにアップした「Dat $tick」がバイラルヒットを巻き起こしたのをきっかけに、21 サヴェージなどUS の若手ラッパーとも親交を深め共演を果たした彼。USデビューも果たし、最新曲「Glow Like Dat」もヒット。大きな注目を集めています。

88risingの名を最初に世に知らしめたのがKeith Ape(キース・エイプ)です。韓国出身のラッパーである彼が2015年にリリースした「It G Ma」は世界中に評判を広め、88risingを筆頭にしたアジアのヒップホップシーンが注目を集める発端となりました。ちなみにこの曲には日本のラッパー、KOHHも参加してその点でも話題になりました。

中国・四川省の成都出身の4人組ラップグループが、Higher Brothers。ルックスもリリックのテーマもユーモラスなのが持ち味。MaSiWei、DZ、Psy.P、Meloの4人はトラップ直系の重心の低いビート上を、ユーモラスで軽い足取りのラップで乗りこなしてみせるグループ。

そして注目株がjoji。大阪出身で、本名はジョージ・ミラーというオーストラリアと日本のハーフのシンガー。もともとPINK GUYと名乗ってコミカルな動画を投稿していたユーチューバーだったのだが、心機一転「シリアスな曲を作る」とjoji名義で10月にデビュー曲「will he」を公開。

そのクオリティと歌声の表現力で大きな注目を集めている。そして昨年10月に発売された1stアルバム「Ballads 1」がビルボードのR&B/Hiphopアルバムチャートで1位になったのも記憶に新しいですよね!

K-POPとは正反対のアジアンカルチャーを

ミヤシロ氏は、所属のアーティストたちの成功はアジアンポップが、韓国の大衆音楽K-POP以上のものであることを証明したと信じています。

「ダンスを研究し、世界に広めるために莫大な資金を投じて作られているK-POPと違って、パンクロックな感情が源になっている自分たちの音楽とは正反対のものだ」と、ミヤシロ氏は語っています。

さいごに

YouTube以降の時代に、メジャーレーベルに頼らず、完全にインディペンデントな活動でファンベースを築いて活動していくことがこれまでになく容易になりました。明確なコンセプトにもとづくビジョンの展開。

メディアやレコード・レーベルといった慣習的な分業にとらわれない組織づくり。インターネットのバズを巧みに利用しつつも、ミュージシャンのクリエイティビティをアシストするスタンス。88risingの躍進を裏付けるこうした彼らの姿勢は、ポストYouTube時代の音楽を考える上で重要な示唆に富んでいます。次世代のアジアンスターとなる88risingを是非チェックしてみてください。